海外進出のメリット・デメリットと成功のカギ

この記事では、海外進出のメリットと注意点すべきデメリットから、具体的な成功事例までご紹介します。

Posted By Ayako Masubuchi

総務省の調査によると、日本では少子高齢化による労働人口の減少や最低賃金の上昇率が低いことなどから、労働生産性が国際的なランキングで年々順位を下げており、国内の市場規模が縮小傾向にあります。それに対して、世界の市場は拡大しており、消費購買力を上げています。2020年のJETROの調査で、「海外に既にある拠点を拡大する」と回答する企業は過去最低となったものの、「今後、新たに進出したい」とする企業は微減(25.5%から24.8%)にとどまり、コロナ禍においても進出意欲には大きな影響がないことが分かりました。こうした状況の中で、業種を問わず多くの企業が、事業拡大やコスト削減を目的とする海外進出に目を向けています。期待されるメリットも大きいものの、政治・経済・商習慣などによる参入障壁も高く、何から手をつければいいのかわからない、なんとなく不安という方もいるのではないでしょうか。この記事では、海外進出のメリットと注意点すべきデメリットから、具体的な成功事例までご紹介します。

目次

  1. 企業が海外進出を検討する主な2つの目的
  2. 企業が海外進出によって得る3つのメリット
  3. ビジネスの海外進出を決めるその前に!メリットだけでなくリスクやコストをしっかり確認
  4. 業界別の事例もご紹介!海外進出のメリットと成功のカギ
  5. 海外進出を成功させるには明確な目的と事前のしっかりとした計画が不可欠

 

企業が海外進出を検討する主な2つの目的

メリットを求めて海外進出する企業が多く集まるロンドンの街

海外における販売市場の開拓

海外進出の目的としては、販売機会の拡大が81.0%、物流コストの改善目的が15.6%とおり、多くの企業が依然として、販売市場の開拓に期待を寄せていることがうかがえます。GDPの停滞や、少子高齢化による消費活動の減退など日本の国内市場が、減衰していく中で、人口増加や経済成長が見込まれる東南アジアやアフリカの各国に注目するのは自然な流れとも言えるでしょう。

生産拠点を海外拠点に変更して、コストを削減

先述の販売市場の開拓が攻めの一手であるとすれば、2つ目の理由は守りの選択と言えるかもしれません。日本企業が海外進出を検討する主な理由の2つ目は、生産拠点などを海外に置いて、コストを削減することです。また東南アジア諸国は経済特区制度を設けている国も多く、税制優遇を目当てに海外進出を検討している企業もあります。

企業が海外進出によって得る3つのメリット

海外進出のパートナー企業とメリット獲得を目指す

日本市場縮小へのリスクヘッジができる

先述したように、少子高齢化やGDPの停滞により、日本国内の市場は縮小傾向にあります。この傾向は、今後、日本がネックとなる最低賃金や労働力の減少に対して、BI(ベーシックインカム)やAIによる労働の置き換え、外国人労働力の獲得に向けた施策を実現したとしても、この流れに歯止めをかけることは非常に困難です。多くの日本企業にとって、国内市場ではなくグローバルマーケットに販路を拡大し、海外に活路を見出すことは、大きなメリットとなるはずです。

節税効果

ここ30年ほど減少傾向にある日本の法人税率ですが、2021年12月時点で23.2%と、シンガポールや香港、タイ、台湾などに比べると未だ高水準です。特にシンガポールは17%と低い法人税に加えて様々な優遇税制を取り入れ、アジア拠点の誘致に人気です。設立後3年間は税金が大幅に免除される仕組みや、ネット環境などITインフラの整備が進んでいるので、ITサービスやフィンテックなどのスタートアップ企業に非常に人気があります。

グローバル競争に向けて先手を打てる

文化やトレンドが大きく異なるエリアでビジネスを成功させることは簡単ではありませんが、その障壁を乗り越え、海外マーケットの獲得に成功すれば、ブランドイメージや企業価値で後から入ってくる競合他社に差をつけることが可能です。さらに、国内と海外で経験やノウハウを共有することにより、国内の既存の開発方法や工法にいい影響が与えられる場合があります。グローバル展開がもたらす企業ブランドの向上や海外展開によるノウハウの蓄積による国内の既存ビジネスへのシナジー効果は海外進出の大きなメリットのひとつです。

ビジネスの海外進出を決めるその前に!メリットだけでなくリスクやコストをしっかり確認

海外進出のデメリットを確認するチーム

文化や風習の違いに配慮が必要なのは、商品やサービスだけではありません。人材の獲得・育成・管理に苦戦する企業も少なくありません。国にもよりますが、海外では終身雇用やひとつの企業に勤め上げるといった感覚はほぼないので、日本に比べて人材はきわめて流動的です。待遇や条件のいい案件があれば積極的に転職していきます。もっと基本的なことで言えば、勤務中の態度や時間通りに出社することさえ当たり前に期待できるものではありません。かつては安い労働力を求めて海外進出に踏み切った企業も多くありましたが、近年アジア各国が軒並み最低賃金の引き上げを行っているため、今後は人件費でコストを削減することは難しくなってくるでしょう。文化や言語の異なるスタッフの育成にはマニュアルの用意や現地の言葉と日本語の両方が堪能なスタッフを配備する必要があります。現地駐在員には日本以上に多くの手当が必要になることも多いので、人材管理のコストは大きくなりがちです。
海外進出を決断する前から必要になるのが市場調査です。ターゲットとなる国のユーザーニーズや競合他社の状況、その国ならではの規制や規格などの情報を把握しておく必要があります。現在はインターネットの普及によって現地に赴くことなく、ある程度の情報を簡単に取得することが可能になっていますが、現地の情報を日本語で入手することはまだまだ難しく、現地の情報が不足しがちです。現地に直接赴くことができない場合にも、コンサルティングサービスを利用するなどして、調査は徹底的に行うようにしましょう。
海外進出で見逃せない経済情勢の変化や為替リスク
経済情勢の変化のリスクも見過ごせません。現地の政治状況や治安によって証券市場・為替市場に混乱が生じるカントリーリスクなど、それにともなう経済情勢の変化も考えられます。現地の法制度や規制が変更になり、それまでよりも参入障壁が高くなったり、場合によっては展開していた事業が継続できないケースもあります。極端なケースではデフォルト(債務不履行)が発生し、国全体の経済が破綻してしまうことも。日本では考えられないような急な変化が起こることも、世界では珍しくないのです。
外国通貨建ビジネスを行ううえで為替変動リスク見逃せません。為替レートの変動によるリスクを完全に回避することは不可能です。 事前に為替レートと数量を予約する為替予約などリスクを軽減する方法もありますが、外資比率が決められていたり現地従業員の外国人比率に規制が設けられていたりするケースもあるため、事前にしっかり確認が必要です。

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業界別の事例もご紹介!海外進出のメリットと成功のカギ

海外進出のメリットを求めて出張する人

企業の海外進出はローカライゼーションでメリットを最大にできる

企業の海外進出を成功に導く鍵として最も重要なポイントは、ローカライズです。日本市場とグローバル市場では、文化風習はもちろん、ビジネススタイルも大きく異なります。こうした違いを正確に把握し、ターゲット市場に合わせたサービス・商品の選定や調整を行うローカライゼーションは、どんな業界、プロダクトの成功にも必要な要素です。APAホテルの事例では、ウェブサイトのUI/UX、テクニカル、アイコンや画像を徹底的に英語圏向けにブラッシュアップ。また、ローカル視点によるユーザー体験の改善が施されたインタラクティブコンテンツによりエンゲージメント向上につながりました。

サービス・プロダクトの海外進出に不可欠?!多言語サイトの作り方

海外進出を考える企業が、とりあえず既存の日本語ページを需要のありそうな言語に翻訳しているのを見かけることがありますが、残念ながらそれでは海外ターゲットにリーチすることは難しいでしょう。なぜなら、翻訳だけでは検索者の意図とずれてしまうことや、テクニカル面での最適化を実装しないと検索エンジンに認識してもらえないためです。ローカライズされた戦略に基づいて抽出されたキーワードに基づいてコンテンツを作成すれば、SEOを開始してから3か月以内に、ターゲットとした124のキーワードのうち68のキーワードでランクを上昇させることも可能なのです。

海外進出を成功させるには明確な目的と事前のしっかりとした計画が不可欠

海外進出のメリットデメリットを確認する会議海外の新たな市場開拓による事業拡大やコストの削減のために、海外進出を検討する企業が増えています。多くの外部要因が伴う海外進出を成功させるためには、デメリットに対するリスクヘッジをすることはもちろん、海外市場調査やローカライゼーション、それに基づくサイトCROやSEO戦略などの最初の計画段階が最も重要であり、一見遠回りに思えるこのプロセスを経ることで、より効果的に狙った海外市場を獲得していくことにつながるのです。

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