数多あるデジタルマーケティング、コンテンツマーケティングの施策の中でも特にリテンション効果が高いとされ、長年その存在感を示してきたのがメルマガを使ったメールマーケティングです。新型コロナウイルスの蔓延により、世界を自由に行き来できない状況が続く中で、海外の顕在顧客にも自由にリーチできる手法として、再び注目されているメルマガについて、基本のキから最新トレンド、自動返信メールのベストプラクティスまで解説していきます。
目次
- 今こそメルマガの海外配信が必要な理由
- 海外向けメルマガ担当者が押さえておきたい５つのポイント
- 海外メルマガで読者の心をつかむトレンド4選
- 情報発信のメルマガだけじゃない、海外メールマーケティング最前線
- 海外向けメルマガ配信のコツをおさえて積極的にビジネスを広げよう
今こそメルマガの海外配信が必要な理由
SNSの台頭などをきっかけに、メルマガ配信は廃れると言われ始めて数年が経ちますが、テクノロジーの進化によるコストをかけないメール配信、顕在顧客に対してのナーチャリングやリテンションを目的としたコンテンツのセグメント配信などの強みを活かし、メルマガならではの効果を発揮し続けています。また、新型コロナウイルスの蔓延により、人や流通は制限されていますが、メルマガを使えば世界中の顕在顧客にリーチすることができます。とはいえ、1日に送受信されているメールの数は2019年の統計で2,936億通、2022年には3,332億通まで達するとの予測が発表されており、競争の激しい世界でもあります。
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メールマーケティングの基本のキをおさらいし、最新のトレンドをおさえて、ライバルのメールマーケティングに差をつけましょう。
海外向けメルマガ担当者が押さえておきたい５つのポイント
コンバージョンまでのUXを徹底的に磨く
メールマーケティングのカスタマージャーニーの中でも、UXは大変重要な要素となってきます。メールそのものを通じたUXも大切ですが、大前提として配信先のメールアドレス獲得（会員登録）も忘れてはいけません。会員登録のハードルを下げることがメールマーケティングのUX向上における最初の一歩です。例えば、会員登録のためのリンク先を別途用意するのではなく、サイト閲覧時に一定時間が経過すると会員登録のポップアップが表示される機能を実装したり、登録時にメールアドレスだけを入力する設定にするなどの工夫によって、ユーザの会員登録での負担を減らしましょう。
配信コンテンツのパーソナライズ化
メールマーケティング方法の中で、最も大きな進化を遂げたのはパーソナライズ化でしょう。以前は登録してくれたユーザ全員に全く同じ内容のものを一斉に送信していました。しかしメール配信サービスの進化によって、それぞれのユーザの興味関心に合わせたコンテンツが配信できるようになりました。パーソナライズ化されたタイトルのメッセージは開封率が1.43倍という統計データもあり、CROに貢献しています。
メルマガコンテンツのレスポンシブデザインの採用
2019年の調査では、62％の人がスマホやタブレットといったモバイル機器でメールを確認していることが分かっています。画面サイズごとにコンテンツの表示方法を調整してくれるレスポンシブデザインの導入はメルマガ運用には必須の機能と言えるでしょう。。どんなにデザインにこだわって魅力的なデザインのコンテンツを送っても、端末によって正しく表示されないのでは訴求力が損なわれてしまいます。
シンプルで魅力的なメール文面の作成
日本と海外の文化の違いの中でよく耳にするのが「とにかくメールが長くて回りくどい」ということ。ユーザによっては、一日に100通以上のメールが届くことを想像してください。100通のメールの中で貴社のメールが埋もれないためには、読む時間を長くとらせない、シンプルで魅力的なメールを作ることが大切になります。短くても端的に魅力を伝えることは可能です。もし、商品やキャンペーンなどで長い説明文が必要になる場合には、説明ページを別に作成し、誘導してみましょう。
動画やイラスト、アニメーションで情報を補完
シンプルな文面で魅力を十分に伝えるのが難しい場合、効果を発揮するのが動画やイラストです。メルマガは、テキストがメインコンテンツとして使われていますが、画像などを埋め込みできる「HTMLメール」のサービスも充実し、高度なコーディング技術がなくても、簡単に実装できます。特にアニメーションは、動画と比べて実装できるメール配信サービスが多く、イラストよりも多くの情報を盛り込めるので、２つのフォーマットのいいとこ取りツールとして、近年人気を高めています。文字では長くなってしまったり、詳細まで伝えるのが難しい内容について、動画やイラスト、アニメーションを使って表現するのが、海外メールマーケティングのトレンドのひとつです。
海外メルマガで読者の心をつかむトレンド４選
ハイパーターゲットメール
先述したパーソナライズ化を実現してくれるのが、ハイパーターゲットメールです。ハイパーターゲットメールとは、ターゲティングメールをさらに進化させたものです。そもそもハイパーターゲティングとは、ターゲットユーザを明確に指定し、最もコンテンツが見られる可能性の高い場所・時間帯に関連性の高いメッセージを配信することを指します。ユーザを条件や属性ごとに分けることで、ターゲット層に合ったメール配信が実現できます。
ハイパーターゲティング戦略を開始する前に、以下の２つを準備しましょう。
- 購入者のペルソナ：効果的なハイパーターゲティングキャンペーンには、誰をターゲティングしたいかを正確に把握していることが不可欠です。訴求したい顧客の概要を明確に示す2〜5つのペルソナを作成することから始めます。
- Eメールマーケティングまたは顧客関係管理（CRM）ソフトウェア：効果的なハイパーターゲティングは、ブランドとやり取りがあった人々を知り、ドキュメント化し、追跡することが前提となります。そのため、顧客の連絡先情報を収集し、顧客プロファイルを作成できるようにする電子メールマーケティングまたはCRMソフトウェアを設定します。
準備ができたら、以下の５つのステップでCRMと電子メールのセグメンテーションを行っていきます。
- オーディエンスまたは顧客ベースを、特性またはアクティビティに基づいてハイパーターゲットグループに分割
- 特定のセグメントの要望やニーズに直接対応するコンテンツ、マーケティングメッセージ、プロモーションを作成
- パーソナライズされた電子メールおよびテキストマーケティングキャンペーンを通じてコンテンツを配信
- キャンペーンへの反応に基づいてオーディエンスをリターゲットする
- 結果を追跡し、プロセスの改善、調整、改善を続ける
キネティックメール
文章では伝えきれないストーリーを視覚的に伝えてくれる動画やイラスト、アニメーションをはめ込んだメールが、キネティックメールです。CSS3とHTML5を使用することでWebサイトと同じようなUXを提供できるインタラクティブなメール形式です。動的なメールコンテンツによって、メルマガそのもののUXを作成・強化できるのが特長です。ショッピング機能そのものをメルマガに含めれば、オンラインショップに飛ばなくても商品をカゴに入れることができるなど、ユーザの手順をスキップし、カゴ落ちリスクを下げることもできます。 また、インパクトのあるコンテンツによってユーザの興味関心は高まっているため、CVRの向上も期待できます。
キネティックメールの大きなメリットは以下の２つ
- 概ね主要な電子メールサービスプロバイダーによってサポート：デスクトップだけでなくさまざまなモバイルデバイスにも適用できる
- 豊富な種類：スライドカルーセルや、ゲーム・パズル、アニメーション、ショッピングカートなど、ユーザの興味を惹きつける多くの機能が実装できる
メールマーケティングオートメーション（自動化）
メールマーケティングオートメーションは、昔ながらのメール配信ツールと違って、どの見込み客がいつどのWebページを閲覧したか把握することができます。Web解析と顧客管理を１つのデータベースで整理し、見込み客の情報とWeb上での行動を繋げて管理しています。Social Media Today社の調査State of Automationによると、75%のマーケターが1つのメールマーケティング自動化ツールを使用しており、Omnisend社の調査によれば、カスタマイズされた自動化ツールを使う場合、人力でおこなうソリューションと比較して、17.27%高いCTRを獲得することができます。この２つの理由から、メールマーケティングにおいて自動化を取り入れることは必須と言えるでしょう。
情緒的なつながりで距離をつめすぎないバランス感「非侵入型パーソナライズ」
ここまで記事を読んでくださったみなさんは、パーソナライズされたUXがいかに重要かお分かりいただけたかと思います。しかし、行き過ぎたパーソナライズにどこかから自分をみられているような不気味さを感じる人も増えてきています。InMomentの調査によると、消費者全体の75%がこの「パーソナライズ」された顧客体験のブランドキャンペーンを「ちょっと気持ち悪い（at least somewhat creepy）」と評価。全体の22%が「少しでもマシなブランド（less-creepy brands）」を選びたいと回答しています。9％のユーザは「悪い口コミを書く」と答えており、せっかく導入したパーソナライズ機能がブランドの足を引っ張る可能性があります。このユーザの反応を受けて、どこからデータを取っているか明示する企業も増えてきています。「商品をご購入いただき誠にありがとうございます。購入した商品情報を元にあなたへのおすすめを選びました。」など、ユーザの信頼を損なわないための工夫が取り入れられ始めています。
情報発信のメルマガだけじゃない、海外メールマーケティング最前線
トランザクション（自動返信）メール
会員登録時のお礼メールやパスワードのリセット、その他、重要事項が記載された確認メールなどは総称してトランザクション（自動返信）メールと呼ばれ、ユーザにとって緊急性の高いこれらのメールは他のメールの平均と比較して開封率が高く、40%から50%にものぼります。この開封率の高さを最大限活かすベストプラクティスをご紹介いたします。
会員登録完了メール
会員登録完了メールを送信することで、ブランドの信頼性を高めることができます。多くのユーザは、新しく見つけたブランドをそこまで信頼していません。会員登録完了メールで、新しいユーザの購買意欲を盛り立て、気持ちよくセールスファネルを進んでもらいましょう。以下のことを意識して、会員登録完了メールを準備してください。
- 会員登録完了時に送信するメールは、ブランドや商品、サービスのストーリーを伝える絶好のチャンスです。ユーザに興味深いインサイトや「舞台裏」を見せることのできる機会を逃さず活用しましょう。
- 特にリテイルでよく見受けられるのが、会員登録完了メッセージに初回購入で使えるインセンティブを含める手法です。いくつかのディスカウントクーポンや送料無料を提案し、CVRの向上をはかっています。
- 会員登録完了メールは、新規ユーザとより多くのタッチポイントを取得するツールとしても役立ちます。ソーシャルメディアでのフォローを促したり、個人データに関するアンケートを実施することで、その後の情報発信機械の拡大につなげることができます。
- 最も重要なのは登録してくれたユーザに「メールを購読していただきありがとうございます」という感謝を伝えることなので忘れずに。
配送通知メール
配送・追跡情報の通知もユーザの目にコンテンツが触れるよい機会です。ネットビジネスを行なっている販売者の方なら今すぐ取り入れたいマーケティングのヒントを下に記載しました。
- 今後は1通のメールを参照するだけでよいことを伝える
- 追跡情報を含める
- 荷物の現在のステータスなどビジュアルを含める
- 他のおすすめ商品などを提示し、アップセルへつなげる
クレーム対応メール
Eコマースでネット販売をすると、特に海外ではトラブルを避けて通るのは難しいです（特に海外では）。配送の遅延や在庫切れなど、トラブル時のメッセージにもコツがあります。サービスに不満を持った状態のユーザの満足度を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。
- 不便をかけていることを詫びる
- 解決策を提示する
- 次回購入から15％オフなど再度購入してもらうきっかけを作る
シンプルですが、まずは謝罪と解決策の提示を忘れないようにしましょう。
海外向けメルマガ配信のコツをおさえて積極的にビジネスを広げよう
海外向けのメルマガも、日本と同じで一番大事なのはUXなので、必ず現地の文化に合わせたローカライズが必要です。なかなか世界を自由に行き来できない状況が続く中で、海外の顕在顧客にも自由にリーチできる手法として、再び注目されているメールマーケティング。今回ご紹介した最新トレンドや、ベストプラクティス、基本のキを使って、貴社も海外向けメルマガ配信をはじめてみてください。