新型コロナウイルス感染症の拡大により様々な経済活動が一時停止し、私たちは第二次世界大戦以来最悪の景気後退に直面した、と言われています。しかし、一度落ち込んだ経済も少しずつ回復してきている傾向にあります。日本政策投資銀行が公益財団法人日本交通公社と共同でアジア・欧米豪12地域の海外旅行経験者へ向けて実施したアンケート調査では、コロナ終息後に旅をしたい国で日本が46%で1位となりました。この回復の兆しに合わせ、アフターコロナを見据えたインバウンドの観光客に期待を寄せる企業も増えてきているのではないでしょうか。今回は、近い将来に備え、インバウンドの集客を素早く始めたい方々へ向けたSNS活用のマーケティング施策をご紹介いたします。訪日外国人に向けたインバウンド広告は別記事でご紹介しています。
目次
インバウンドの現状
2020年に国土交通省・観光庁が行った「訪日外国人の消費行動」という分析の結果(7ページ)によると、旅行の手配方法として「個人で往復航空券や宿泊等を手配した」が85.9%を占めており、インドやロシア、韓国から日本を訪れる観光客では95%以上の人が旅行を個人で手配しています。これらの個人手配で日本へ旅行に来る人はどのように旅行を組み立てるでしょうか。おそらく様々な方法で情報を収集し、自分なりの旅行ルートを計画するはずです。インバウンド集客を検討している企業は、これらの情報収集プロセスに入り込み、プロモーションを仕掛けていくことが不可欠です。しかし、一言でインバウンド集客といってもさまざまな方法が存在します。そこで、誰でもすぐに始められ、使用する媒体によって獲得できるターゲットの異なるSNSによるインバウンド集客の方法をご紹介します。
インバウンド観光客のSNS利用数
SNSを活用したインバウンド観光客の獲得は、デジタルでの情報収集が人々の主流となった今の時代には欠かせない戦略です。2021年の7月時点では、世界の44.8億人もの人がSNSを利用、世界人口の57%が情報収集のためにSNSプラットフォームを活用しています。前述の国土交通省観光庁の調査では、出発前に役立った旅行情報源としてSNSが25.3%と個人のブログの24.1%を上回っています。また、情報源の言語は、英語が50.9%、中国語(繁体字)が26.9%を占めています。これらのデータから、需要の高い言語を活用したSNS投稿によって、インバウンド観光客に効果的にアプローチできることが窺えます。
インバウンド集客に最適なSNSとは?
SNSの最大のメリットは、誰でも手軽に始められ、拡散力が高いことにありますが、どのプラットフォームが最適なのか悩む方も多いのではないでしょうか。そんな方は、それぞれのSNSごとの月間利用者数や特徴を把握して運用するべきSNSを選定しましょう。
SNSの媒体 | 世界の月間利用者数 | 特徴 | |
28億5300万人 |
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YouTube | 20億人 |
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10億人 |
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TikTok | 6億8900万人 |
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3億3000万人 |
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12億4100万人 |
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5億3000万人 |
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4億7800万人 |
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SNSプラットフォームを活用したインバウンド集客は、サービス・商品である対象物の何を・誰に・どのように訴求したいかを明確にすることが不可欠になってきます。たとえば、インバウンド集客において、中国人を対象にするのであれば、中国国内でのSNS規制を考慮し、WeChatとWeiboの利用が必須になり、テキストよりも画像や動画をメインにアプローチをしたい場合には、インスタグラムやTikTokが最適です。このようにサービスや商品の訴求要素を狙ったターゲットに伝えやすいSNS選ぶことがインバウンド集客の成功のへの第一歩です。次の章では様々なSNSの中で、Z世代に絶大な人気を誇るインスタグラムを活用した”インスタSEO”の成功事例を紹介します。
成功事例から紐解くSNSを活用したインバウンド集客方法
【ELLE】ブランド認知拡大のためのインスタSEO戦略
ELLEブランドの認知を拡大させるため、フォロワー&エンゲージメント向上を目指し、戦略的にコンテンツを届ける”インスタSEO”を実施しフォロワー数+267%となりました。
この事例で実施したインバウンド集客向けインスタグラム運用のコツは以下の3つです。
- ターゲットとする国・言語・文化・嗜好をリサーチし、インスタグラム上でのハッシュタグをリスト化・カテゴリー別に分け、ユーザーセグメントされたハッシュタグリストを作成
- 使用数の多いハッシュタグと少ないハッシュタグを組み合わせ、マスとニッチの両方を獲得できる投稿を作成、特定の分野に興味を持つインバウンドターゲットを幅広く獲得することができる
- ターゲットとする国のコミュニティハッシュタグと組み合わせて投稿することで、ニッチなユーザーへもリーチできる
ハッシュタグには様々な種類があり、それらを戦略的に組み合わせることではじめてブランドの狙うターゲットユーザーへ鋭く、かつニッチ層まで余すことなくアプローチすることが可能となります。インスタグラムは他のSNSと比べると画像コンテンツの品質が重視されるため、参入の言語ハードルは低いと言われていますが、プラットフォーム自体はターゲットユーザーに日常的に使用されているため、インバウンド集客においても、それぞれの国の文化を深く理解し、ローカライズしたコンテンツで共感を得ることが重要なポイントとなります。