2020年は小売業を含む多数の業界にとって厳しい年でありましたが、実店舗での売上が減少する一方で、eコマースは増加傾向にあり、様々なトレンドがSNSの動向へはっきりと反映されました。第6回目となる日本国内のSNSに関するレポートでは、2020年にSNSの世界がどのように変化したのか、また2021年以降にどのような消費者のトレンドや行動が主流になるのかを詳しく見ていきましょう。この年次報告書は、弊社の国際的なチームのナレッジと、多くの国外企業の日本市場での成功をサポートしてきた長年の経験に基づいて作成しています。日本におけるSNSマーケティングを支援し、SNSのトレンドをリードし続けてきた経験を、貴社の日本でのブランド戦略の参考としていただければ幸いです。
【2021年版】日本のトップSNS最新情報
目次
- 日本における社会人口統計の概要
- 日本におけるSNSの概要
- LINE Japan
- YouTube Japan
- Twitter Japan
- Instagram Japan
- Facebook Japan
- TikTok Japan
- 日本におけるニッチなSNSプラットフォーム
- 日本のSNSとソーシャルコマース
- 日本の文化とSNS
日本における社会人口統計の概要
1億2600万人以上の国民を抱える日本は、世界で最も人口が多く豊かな国の1つであり続けています。世界トップレベルの高齢化社会(人口の33%が65歳以上)にもかかわらず、日本は特にオンラインサービス、eコマース、ソーシャルメディアなどの分野で、いまだに活発な市場であることに変わりはありません。統計によると日本では10人に9人がインターネットにアクセスしており、一人あたり平均2台のモバイル端末を所有しており、ソーシャルメディアのアクティブユーザーの割合は世界でもトップクラスです(3人に2人近く!)。これだけでも、日本でのビジネス展開を検討する際に、ソーシャルメディアの活用を真剣に検討する理由になるはずです。
日本におけるSNSの概要
SNSプラットフォーム別の月間アクティブユーザー
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私たちのアプローチ
前回のレポートに続き、2021年に向けて、LINEとYouTube(厳密にはソーシャルメディアプラットフォームではありませんが、日本国内で非常に人気があり、様々なSNS機能を備えています)から日本のトップSNSの分析をあわせて掲載しています。SNS界の「ビッグ3」Twitter、Instagram、Facebookに勢いを増すTikTokが登場します。最後に、PinterestやLinkedInのような日本では海外に比べて伸び悩んでいるニッチなプラットフォームや、Clubhouseのような人気が出始めたばかりのSNSも紹介します。
2020年の大転換期にそれぞれのソーシャルメディアはどのように変化し、2021年以降の消費者行動はどうなっていくのか。日本でソーシャルメディアマーケティングを活用するためのヒントを、プラットフォームごとに見ていきましょう。
LINE Japan
LINEは、人口の約7割が利用している日本のメッセージングアプリです。2020年に入ってから400万人以上の新規ユーザーを獲得しており、そのうち85%が毎日アクティブに利用しています!プラットフォームの活動の大部分は、ソーシャルコンテンツの共有や消費よりも、ユーザー同士の交流に重点を置いていますが、そのエンゲージメントの量とレベルの高さは、ダイレクトメッセージングや広告を通じてビジネスとユーザーを結びつけることに大きな役割を果たします。広く多様なユーザにリーチし、日本市場でのブランド認知度を高めるという点では、ターゲット層を問わず、LINEに勝るものはないでしょう。
LINE人口統計
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LINEユーザの年齢層は男女ともにほぼ同じように分布していますが、20~29歳では男性が女性よりも5割以上多く、さらに30歳以上が75%を占めています。さらに、30歳以上のユーザーが75%を占めており、高齢化が急速に進む日本では、今後さらに増加していくことが予想されます。
2021年の公式LINEビジネスガイドによると、ユーザーは大きく3つのグループに分けられます:
- 正社員(~50%)
- パート・アルバイト・主婦(~30%)
- 学生(~11%)
10代男性の90%以上(10代女性の85%)が毎日利用しているのに対し、60歳以上のユーザーは60%しかLINEにアクセスしていません。
日本のNo.1メッセージングプラットフォームの可能性を探ってみたいが、LINEでの広告出稿方法がわからないという方は、 how to advertise on LINE (英語版)をご覧ください。ROIに焦点を当てた戦略をお考えの方は、 お問い合わせ ください。
2021年の展望
LINEは、LINE公式アカウントから来店予約ができる「LINEで予約」サービスや、ユーザーが追加したレシート情報をもとにLINEファミリーブックにクーポンを表示する「クーポン表示」機能を開始しました。LINEユーザの85%が毎日利用しているということもあり、クーポンやチラシは、期間限定のセールやプロモーションで潜在顧客にリーチするには最適な手段となります。
LINEの最大の強みは、個人に合わせた魅力的なテキストメッセージによってダイレクトメッセージで日常的に多くのフォロワーにリーチし、友達とのチャットのようなユーザー体験を構築できることです。2021年以降、オムニチャネル戦略を検討しているブランドにとって、LINEは多くのフォロワーと関係を構築し、クーポンやチラシなどを提供することは、コンバージョン向上につながる施策の1つとなるでしょう。
YouTube Japan
YouTubeは、クリエイターとユーザが動画コンテンツを提供・閲覧できるだけでなく、ユニークなコミュニティの形成し、コメント欄での交流、ライブストリームへの参加など、日本のソーシャルプラットフォームの中でもトップレベルの機能を十分に発揮しています。YouTubeは2020年に300万人以上の日本人新規ユーザーを獲得しています。
YouTube 人口統計
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日本の若者のテレビ離れが進み、好きな時に好きなデバイスで楽しめるオンライン動画ストリーミングを楽しむ傾向があります。YouTubeは、完全無料で利用できることもあり、日本で最も人気のある動画プラットフォームの1つとなっています。月間アクティブユーザが300万人を超えたことで、2020年の日本におけるYouTubeの人口動態も変化しました。前回のレポートでは、40代から50代の男女が圧倒的に多かったのに対し、現在では45歳以下のグループに主な視聴者層が変化しています(25歳から34歳のグループが最も多くを占めています)。
日本でのYouTubeトレンド
2020年は家で過ごす時間が増えたため、日本でのYouTubeコンテンツの消費方法に大きな変化が起きています。2019年に比べて2倍以上のユーザーがテレビでYouTubeを視聴しました(2020年には1,500万人-日本のYouTubeユーザー全体の23%以上)。ユーザの半数以上が、家族や友人と一緒にYouTubeの動画を視聴した経験があります。これらによって、テレビサイズに耐えうる高品質で娯楽性の高いコンテンツへの需要が高まっており、特に料理、家庭菜園、DIY、自宅でのエクササイズなど、自宅で過ごす時間に関連した内容を中心に、動画数が増えています。
2021年の展望
社会的状況により、ユーザが自宅でより多くの動画を閲覧するようになっていることは明らかです。これは、コンテンツ作りだけではなく、広告運用の参考にもなるでしょう。(料理コンテンツを閲覧している家族への調理器具の提案などが考えられます)
2021年には、日本のテレビの代わりとなるような家族向けのYouTubeチャンネルが増えてくると予測しています(すでに数年前から始まっていますが、加速するでしょう)。また、 ソーシャルコマース(SNSを活用した電子商取引)の人気が高まっていることや、 多くのブランドが実店舗からオンライン販売に移行していることを考えると、レビューや開封の儀(開封動画)、商品体験動画などを検索するユーザが増えることが予想されます。YouTubeは日本で2番目に重要な検索エンジンであり、ブランドはユーザのためにオンラインショッピングをしている間、社会的な証拠と安心感を生み出すために、より一層YouTubeを頼りにしていくことになるでしょう。
Twitter Japan
数年前にTwitterが日本の月間アクティブユーザー数の公式データを公表しなくなったため、現在のMAU数は2019年の調査に基づいています。しかし、ビジュアル性やエンターテイメント性の高い、強力なSNSの台頭により、Twitter人気は徐々に低下し、ヘビーユーザの数には減少の傾向にあります。
Twitter 人口統計
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2020年の日本のTwitterに見られた2つの大きな変化:
- 女性ユーザーの増加(2019年のプラットフォームは男性の人気がやや高かった)
- 20代の利用者が急増
Twitterは20~40代の女性ユーザ(大学生、若い社会人、新米ママ、主婦)にリーチするには最適なプラットフォームのようです。
日本国内のTwitterトレンド
日本のTwitterのフォロワーランキングには政治家や社会的に大きな影響力のある人もいますが、欧米諸国に比べると、有名人、俳優、インフルエンサーなどの人気が高いです(トッププロフィールの36%にのぼります)。次いで、芸能界、ゲーム、音楽、アートなどが続いています。最後に、日本のコンビニエンスストア(ローソン、セブンイレブン、ファミリーマート)やスターバックスなど、飲食業界に関連したニュースソースやアカウントが上位を占めています。
2021年の展望
Twitterは、2021年以降も日本では圧倒的なSNSプラットフォームであり続けるでしょう。しかし、TikTokを中心とした他のSNSの台頭によって、徐々に影が薄くなっていくかもしれません。今後数年間Twitterの人気が持続するのは、ニュースや最新情報の共有が容易であることです。特に2020年には、ユーザは、最新のロックダウン規制、交通政策、新しいウイルス症例の数などについての迅速な更新を頼りにするようになりました。孤立生活の影響から、SNSを利用する時間が増え、58%のユーザーが最新情報の検索などを中心とするTwitterの利用を増やしたと回答しています。
2021年、日本のTwitterでSNSマーケティングを成功させるには
2021年以降の日本におけるソーシャルコマースの台頭を予測する上で、ユーザーがそのプラットフォーム上で行っている傾向にある購入にいたるまでの一連のプロセスに注目することをお勧めします。日本では、新製品を発見するために最も人気のあるソーシャルネットワークはTwitterであり(29%)、次いでInstagramが続いています。多くのユーザーは、実店舗に足を運んで商品を試し、最終的な購入を決める前に、商品の情報を得る場として活用しています。
Instagram Japan
日本のInstagramは、世界平均の5倍以上のハッシュタグ検索数を誇り、世界でも有数のアクティブユーザ数を誇っています。急成長を遂げているSNSの1つであることに加え、ハッシュタグの人気が高いことから、ユーザが自分の興味に合った新しいものを見つけたり、関心を集めるのに最適な場所となっています。
Instagram人口統計
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調査によると、2020年には72%のユーザーがSNSを利用する時間が増えると主張しており、そのうち65%がInstagramをより多く利用したと回答しています。また、41%の回答者が、オンラインで商品を購入する理由は、Instagramで商品を知ったからだと回答しています。Instagramは、ファッション、美容、音楽、アート、グルメ、エンターテイメントに興味のある日本の若い女性をターゲットにするには最適なSNSです。特に20代の女性ユーザーが年々顕著に増加しています。
日本国内のInstagramトレンド
これまでは店頭で購入しましたが、ネットで購入するようになった商品ベスト3は、コスメ&ビューティー、食品、日用品(Instagramがぴったり)です。回答者のうち、82%が2020年以降もネットでの購入を増やすと答えており、この変化は一時的なものではない可能性を示唆しています。
日本のInstagramユーザーは他国に比べて、ハッシュタグ検索の数がが5倍、ショッピングタグから商品詳細へ3倍もアクセスしていることがわかっています。日本のInstagramでの成功にこの事実は不可欠となるでしょう。
また、2020年の世界的なコロナウイルスの大流行を受けて、Instagramは飲食店向けの機能を強化しました。テイクアウト注文の受付を可能にし、ユーザが簡単にオーダーできるようにしています。”#テイクアウト(#テイクアウト)”のフィード投稿数は、2020年2月と比較して、5月には25倍になっています。2021年には、ユーザが食事/テイクアウトする場所を決めたり、選択肢を評価・比較したり、飲食店と顧客を直接結びつける動きが活発になることが予測されます。
2021年の展望
2021年は、InstagramとTikTokのショートフォーム動画業界をめぐる覇権の争いに終止符が打たれる年になるかもしれません。リール機能がInstagramアルゴリズムの中心となり(最良のオーガニック流入経路になりうるでしょう)、YouTube Shortsはピックアップされていないものの、新しい競合他社(TikTok)との競争はますます熾烈になるでしょう。私たちは、InstagramがFacebookと同じように、過飽和や低いオーガニックリーチ、広告への集中により、衰退し始めると予測しています。
しかし、ライブストリーム、Instagramのショップ、商品タグなど、通常のコンテンツよりもエンゲージメントの高いものが人気を集めている点において、2021年時点ではまだInstagramでのブランディングには高い期待ができると考えています。
2021年、日本のInstagramでSNSマーケティングを成功させるには
多くの人は、Instagramでオーガニック流入の効果を出すには遅すぎると考えており、プラットフォームは飽和状態にあり、オーガニックリーチ数が低すぎると考えているのです。この状況を受けて、Instagramは様々なポリシーを導入し「グロースハッキング」を制限することに取り組み始めています。
すべてのポリシーの変更やアルゴリズムの更新はすべて、共通して1つの目標を持っています:Instagramのユーザがルールに従い、高品質で魅力的なコンテンツを作成することに集中させようとしているのです。リール(30秒以内の短い動画)は、現在Instagramで最も好まれているようです。そのため、2021年にはこのタイプのコンテンツに注力するとともに、Instagramのショッピング機能をフルに活用することをお勧めします。現在、多くの日本のユーザーはInstagramのショップに商品がタグ付けされていることを期待しており、プラットフォーム上で簡単に購入できる導線も整備されています。
Facebook Japan
Facebookは日本で3番目に大きなSNSで、人口の20%以上に広がっています。また、最も高い年齢層のユーザを持つSNSでもあります。ここ数年、日本のフェイスブックは、TikTokのようなビジュアルプラットフォームに人気を奪われるなど、徐々に存在感が薄れてきているのがはっきりと見て取れます。それにもかかわらず、このプラットフォームは2600万人のユーザーを誇り、 高い年齢層ユーザのおかげで、専門家や家族、可処分所得の高いユーザ、さらにはB2Bマーケティング戦略をターゲットにするのに最適なプラットフォームです。
Facebook人口統計
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日本のFacebookからは若いユーザーが流出し続けています。このプラットフォームは明らかに下火に陥っており、40代のユーザーが最も多く、女性と男性の間ではかなり均等に分布しています。それらの人口動態の変化を数字にすると、2019年から2020年の間に
- 30歳以上のユーザー数は79%から83.5%に増加
- 10代・20代のユーザー数は21%から16.5%に減少
していることが分かります。
日本国内のFacebookトレンド
日本のFacebookは、eコマース、リテイル、サービス提供者のプロフィールに占められており、そのほとんどが短期間で購買の意思決定がされる低価格帯のサービスや商品やサービスを提供しています。これはこれまでに見られなかった傾向です。多くのブランドが顧客からの好意的なコメントや口コミを集める目的か、有料広告を使うためにFacebookを利用しているのです。もう1つのトレンドとしては、B2Bブランドが自社のコンテンツをプロモーションし、メールマーケティングでリードやトラフィック、エンゲージメントを獲得することが見受けられます。
2021年の展望
2021年の予測としては、日本では若年層のユーザが減り、Facebookでのつながりが減少し、エンゲージメントに伴ってオーガニックリーチも着実に減少していくだろうということです。また、最近のiOS14のアップデートを考慮すると、Facebookはこれまでほど強力ではない(非常に重要ではあるものの)広告ツールになるかもしれません。有料広告でプラットフォーム上のユーザの年齢が上昇すると、ほとんどの場合、より多くのB2Bや家庭/家族向けのブランドがそこでプロモーションを始めます。私たちは、Facebookは重要な口コミ拡散ツールであり続けるだろうと予測しています。 ユーザーのほとんどは、プラットフォーム上で実名を登録しているので、Facebookのレビューや評価は絶大な影響力があり、購入前の意思決定プロセスを協力にサポートすることができるのです。
2021年、日本のFacebookでSNSマーケティングを成功させるには
日本のFacebookでオーガニックグロース向けのコンテンツを作成する場合、2021年最も効果的な戦略は、日本のFacebookユーザーの間で非常に人気のあるファンコミュニティやビジネスグループに焦点を当てることである。特定のトピック、ビジネス分野、業界、文化に興味のあるユーザーを集めることで、より対象を絞ったターゲティングが可能になるためです(もちろん、グループのルールを意識しながらの戦略が必要です)。
また、日本のFacebookでは、動画コンテンツが退屈な画像よりも40%以上もエンゲージメントが高いことが証明されています。私たちがおすすめするのは、魅力的な動画コンテンツ(理想的としては、Facebook向けに特別に作成され、他のプラットフォームと重複していないもの)を作成し、Facebookのコミュニティを活用して興味のあるユーザーにリーチすることです。
TikTok Japan
TikTokは日本のSNSプラットフォームの中でも、膨大な成長率とユーザー間のエンゲージメントにより、無料のオーガニックリーチにおいて類を見ないチャンスを提供しています。年齢層は男性と女性がほぼ均等に分布しており、日本では興味深い人口統計学的パターンが見られます。
TikTok人口統計
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- プラットフォームを利用している女性で最も多いのは40代(11.2%)です。
- 一方、男性は 40代(13.1%)が圧倒的に多く、次いで30代(12.1%)、20代(11.4%)となっています。
このことからも若いユーザだけでなく30代から40代の男女に広がりを見せていることがわかります。
2021年の展望
世界的なトレンドがTikTok Japanにも波及し、年齢層の高いユーザの流入により、オールリーチ、オールターゲットのプラットフォームになると考えています。それに伴って自然と、より多くのブランドがプロモーションを行い、有料広告を掲載し、オーガニックリーチを活用しようとすることで、プラットフォームの「商業化」が進んでいくでしょう。日本のTikTokで勝つための鍵は、マーケティングやブランドを重んじるアプローチで押し付けがましくなく、楽しみながら楽しませることに変わりはありません。
2021年、日本のTikTokでSNSマーケティングを成功させるには
TikTokのオーガニックリーチを活用するためには、トレンドに注目する必要があります。TikTokは軽快で楽しいコンテンツばかりなので、あまりにもCM的なものや強引なものは受け入れられません。このプラットフォームは主にコミュニティの上に構築されていることを念頭に置かねばなりません。ユーザーの帰属意識を満たす「一緒に楽しむ」という側面も欠かせません。
有料戦略については、日本でのTikTok広告を使ったコンバージョンのための広告運用ガイド(英語版) をご覧ください。日本でのデジタルマーケティングへの投資で最高のリターンを実現するために、 私たちにご連絡ください。
日本におけるニッチなSNSプラットフォーム
昨年に引き続き、ニッチなSNSプラットフォームの中には、規模の拡大に苦戦しているものもいくつかあります。Pinterest、LinkedIn、Snapchatのようなプラットフォームでは、当面の間、現状を打破することは難しいと考えられます。
Pinterestは約600万人のユーザを抱えており、特に作品へのインスピレーションを求めるデザイナーや芸術的な感性を持った人たちが中心にプラットフォームを使っています。もしあなたがこの分野の大物であるのなら、Pinterestが推奨する「勝ち組のPin戦略」に従うことをお勧めします。
- 少なくとも週に一度は、新しいオリジナルのピンを作成しましょう
- URLを追加してPinsをアクション性のあるものにしましょう
- Pinsを名前のついた美しいボードに整理しましょう
日本でのLinkedInの主な用途は、日本市場への参入に興味のある欧米諸国のユーザにアプローチして、潜在的な顧客とネットワークを構築するか、外国人スタッフを採用するかのどちらかに限られています。日本のみを対象としている企業には、このプラットフォームでのオーガニック戦略や有料戦略はお勧めできません。
Clubhouse
アップル社ののApp Storeで無料アプリの中で1位を獲得するなど、日本ではすでにブームとなっており、数千人のユーザーが自分のアカウントを共有したり、Instagramのストーリーを中心とした他のSNSのアカウントで友達を招待したりしています。 また、有名人やメディアプロバイダー(朝日新聞のポッドキャストのような)、インフルエンサーがこのプラットフォームに参加していることも散見されます。
Clubhouseは日本の次の大きなSNSプラットフォームになるのでしょうか? 他のSNSと同様に、ユーザーの「クリティカルマス」を獲得する必要があるでしょう。現在、Clubhouseアプリはそこに到達するために頭角を現しつつありますが、日本ユーザの特徴からすると、(パンデミック後も)人と会ったり、対面のコミュニケーションを持つことなく、気軽に交流したいというニーズを満たすことで、今後も急速に成長していくかもしれません。
日本のSNSソーシャルコマース
インスタグラムやフェイスブックのセクションでも紹介しましたが、近年ソーシャルメディア(SNS)が、従来の「集客としての手段」だけでなく、プラットフォーム上でとEコマースまで一貫して実施できるようになってきています。
広告の出稿、情報発信やブランディングといった集客機能に加え、カート機能を有したものがソーシャルコマースです。ソーシャルコマースでは、集客だけにとどまらず、商品の閲覧や比較、選択、決済まで、ECサイトでできる一連の作業を行うことができます。つまり、SNSアカウントのみで、商品の販売まで完了することができるのです。
経済産業省が発表した “電子商取引に関する市場調査(令和2年7月)” によれば、日本国内のBtoC-ECの市場規模は、2019年には前年度比+7.65%の、19兆3,609億円、新しいビジネスモデルとして注目を集めているCtoC-ECでは、前年度比+9.5%の1兆7,407億円でした。ECマーケットの拡大に伴い、CtoCでの取引も拡大していることがわかります。中国やアメリカと比較すると、日本では「ECサイトとしてのSNS」という認識が比較的まだ浅いことが懸念されていますが、これらの数字は不安を払拭する根拠と言えるでしょう。
SNSの中でソーシャルコマースの機能を持つプラットフォームで代表的なものは、FacebookやInstagram、Pinterestです。TikTokも一部ユーザー向けに直接ECサイトに遷移できるサービスを開始しています。
ソーシャルコマースのメリット
- 手軽に構築・運営ができる
SNSアカウントをプラットフォームとして、オンラインショップを開設することのできるソーシャルコマースでは、従来のECサイトで必要となる、Webサイトの構築を省くことが可能です。一般的に、SNSアカウントの開設後、各SNSによって提供されているショップ機能や、ASP型カートシステムなどのカート機能を追加することで、ソーシャルコマース事業を始めることができます。従来のECサイトで必要だった集客目的のSNS運用以外にもリスティング広告やアフィリエイト広告等をはじめとした、広告の出稿やSEOなどの工程を省くことができます。
- ユーザーの囲い込みができる
商品の閲覧、選択、購入の一連の購買体験がSNS上で完結されるソーシャルコマースでは、売る側(企業側)と買う側(ユーザー)で、より近しい関係性を構築することが求められます。セラーは、より多くのユーザーに、商品だけでなく、ブランドやショップのコンセプトについても知ってもらう必要があるため、買うこと自体がメインであったユーザーは、ショップに対して、より愛着をもちやすくなります。また、ユーザーのロイヤリティを高めるためのイベントやキャンペーンなどを実施することで、ユーザーのファン化や、リピート層の獲得を図ることができます。競合性の高さや集客の難しさが課題として掲げられるEC事業において、SNSに特化できるソーシャルコマースでは、価格以外の面で、他社との差別化を図ることができるのです。
ソーシャルコマースを運営するうえで気を付けるべきこと
構築や運営の手軽さや、ユーザーの囲い込みなど、メリットの多いソーシャルコマースですが、留意すべき点もいくつか存在します。
- 情報更新にかかる工数が増える
SNSは情報発信の場であることから、ソーシャルコマースの場合、定期的かつ頻繁なブランドや商品に関する情報発信が必要です。特にInstagramを使用する場合、クオリティの高い写真や動画など、クリエイティブ素材も必要となるため、1投稿につき多くの作業が発生します。また、SNSでは投稿数やフォロワー数などの数値が明確に表示され、それらの数値は、ユーザーが商品を比較・購入する際の判断基準の一つになり得ます。そのため、定期的かつ一定程度の質を担保した投稿を継続して行えるかどうかが成功を左右するといっても過言ではないでしょう。
- 売上向上までに一定の時間を要する
ソーシャルコマースでは、SNSアカウントの開設後、ショップの認知を広めるために、ファンを獲得し、ロイヤリティを向上させるプロセスが必要になります。具体的な施策として、投稿や広告出稿が挙げられますが、短期間で顕著にファンを増やしたりロイヤリティを急に向上させることは容易ではありません。そのため、SNSアカウント開設後、すぐに収益が得られるとは言い難いでしょう。自社独自のECサイトや、大手ECモールへの出品または出店によって、SNSとは別にECサイトを運営している場合には、他の販売チャネルも活用し、自社のソーシャルコマースへの取り組みに関する認知度を向上させる施策を実施する必要があります。SNS上で購入したユーザーへの特典や、SNSアカウント上の限定キャンペーンなど、従来のECサイトではなく、新しいソーシャルコマースという販売手法をユーザーに認知させるための施策を積極的に行うようにしましょう。
SNSの発達に伴い、単なる情報収集や発信の場から、ショッピングサイトへと、EC業界におけるSNSの在り方は変化し続けています。
まずは、自社のSNSアカウントを開設し、コンセプトやターゲットとするユーザー層、そしてユーザーとの、またはユーザー同士のタッチポイントをどのように増やしていくのかをしっかりと検討することが重要となるでしょう。
日本でSNSを運営する際、考慮するべきこと
エデルマンのトラスト・バロメーターによると、日本は、トラスト・インデックスのスコアがわずか37で、世界で2番目に低い水準にあります。この市場でSNSを活用しようとしているブランドにとって、これは何を意味するのでしょうか?日本のSNSは、製品やサービスに関するレビュー、評価、口コミを素早く共有できるため、最大のサポーターとなる可能性もありますが、思いがけず足を引っ張られる可能性を秘めています。
日本での典型的な購入プロセスを考えると、多くのユーザーは、ブランド、品質、ユーザー体験、価格対効果などについての「社会的な証拠(ソーシャルプルーフ)」を探すことから始めます。すべてのチャンネルで素晴らしいレビューを保証することで、確固たる信頼を築き、コンバージョンを大幅に改善することができます。これは、例えばあなたのウェブサイト上のレビューや評価では達成できないことです。消費者の目には、 ブランドがより良いレビューや口コミのみを厳選して表示する可能性があると感じているので、信頼性があるとはみなされないためです。
私たちがお勧めするのは、ユーザーが商品を購入するだけでなく、SNS上でレビューを残してくれるようなインセンティブ(クーポンなど)を与えられるような、スムーズなユーザ体験を構築することです。
2021 年にはソーシャルコマースが日本の SNS を席巻すると予測されていますが、それは同時に日本文化の他の側面を考慮することがより重要になることを意味します。ユーザはオンラインで販売される商品やサービスが実店舗よりも安いことを期待しています。そのため、割引やセール、プロモーションは例外的なものではなく、むしろ期待されるベースラインであるべきです。
もし、適切な割引価格とクロスプラットフォームのソーシャルプルーフを導入しなければ、日本でのオンラインマーケティング活動は、競合他社に利益をもたらす可能性さえあります。日本の女性消費者が革のバッグに興味を持っていると想像してみてください。彼女は購入前に必ず様々なSNS上で価格やレビューを比較するでしょう。競合ブランドのいずれかがレビューや価格の面で優れている場合、 あなたのデジタルマーケティング戦略は、競合製品の購入にさえつながるのです。オムニチャネルのソーシャルプルーフと価格戦略の構築が、日本のeコマースやSNSにとって非常に重要である理由はここにあります。
OUR SOURCES
- 総務省統計局
- 総務省 令和元年通信利用動向調査まとめ
- CNET 2020年度 SNS利用動向に関する調査
- Insta Lab SNSデータ
- LINE 2020年度第三四半期業績まとめ
- PR TIMES 『SNS活用の変化』のアンケート調査
- Gaix Social Media Lab 11月の主要SNSニュースまとめ
- Facebook社 2020年度第3四半期(7月-9月)業績ハイライト
- We Love Social 2021年1月版 人気SNSのユーザー数まとめ
- Social Bakers 2020 Social Marketing Report Japan
- Think with GoogleYouTube、2020 年の国内利用実態
- User Local TikTok 人気ランキング
- AdverTimes 2021年に新たな局面を迎えるLINEの広告戦略
- 2021 Edelman Trust Barometer