企業のグローバルサイト制作は、取り組まなければならない最優先事項として捉えられています。その背景には、世界人口が今後増加していく傾向にある反面、日本人口は減少の一途と辿っており、総務省の調査によると2050年には1億人を下回ると推計、それに相反し世界の人口は増加し続けています。ビジネスを継続する上で、グローバル化は有無を言わさず必要となってくるのです。
では、企業の海外進出に不可欠な「グローバルサイト制作」は一体どのような手順で進めるべきなのか?
もっと言えば「海外で成功するグローバルサイト制作のポイント」は何なのでしょうか?
そんな疑問をお持ちの方へ向けて、世界基準の「グローバルサイト制作」についてわかりやすく解説いたします。
グローバルサイト制作を成功に導く3つのポイントとは?
目次
グローバルサイトの定義とは?
「グローバルサイト制作」を取り組む前に理解したいグローバルサイトの定義
そもそもグローバルサイトとは?という基礎的なところから情報を定義してみましょう。グローバルサイトは、多地域性や多言語性を取り入れて制作したウェブサイトのことを言います。多地域性や多言語性とはいっても、世界の言語は7000以上存在しており、言語によって習慣や考え方が変わってくるので、グローバルサイトには海外SEO対策でそれぞれの言語に沿った検索意図を適用したサイトコンテンツ作りが必須となってきます。言語ごとにターゲットが変わる、という事実に気付かず「未完全なグローバルサイト制作」を進めてしまう方が多いのが現状ですが、グローバルサイトの定義をきちんと理解することで根本的な間違いを防ぐことができるでしょう。
「日本語版サイト」と「グローバルサイト」の大きな違い
「日本語版サイト」は日本国内の日本語を使うユーザーをターゲットと置き、商品やサービスを日本人に向けて制作したウェブサイトです。「グローバルサイト」はターゲットである地域と言語を選定し、その環境下のグローバルなターゲットに向けて制作するウェブサイトです。この二つのサイトの大きな違いは「ターゲット」であり、相手によって伝え方を適用またはローカライズすることが不可欠です。日本語版サイトをそのまま翻訳したコンテンツをグローバルサイトへ活用するやり方は、商品やさサービスを伝えたいヒトの意図を考えていない一方的なメッセージとなってしまいます。双方でのコミュニケーションや理解が成り立つように意識することを心がけましょう。
グローバルサイト制作に欠かせない戦略プランニング
ターゲット地域・ユーザータイプの設定と競合サイトのリサーチ
グローバルサイト制作の要となるのが「ターゲット」です。 英語圏・中国語圏を狙うかによって言語も違えば文化や習慣、ニーズも異なり、サイト内でのコンバージョンの仕方も変わってきます。「ターゲット」を定め、その市場のトレンドや競合他社をリサーチし、”ベンチマーク”を設定しておくと良いでしょう。日本の多くの企業がこのプロセスで見落としてしまうのが「グローバルターゲットをきちんと設定し、理解すること」です。”どこの国のどんな人へ向けてビジネスを伝えたいのか”を明確にすることが、グローバルサイト制作の成否を左右するでしょう。
グローバライズ & ローカライズされたサイトコンセプト設計
どこの国のどんな人へ向けたグローバルサイトを制作するのか、が決まれば、あとはターゲットの嗜好やライフスタイルに合わせた「グローバライズ & ローカライズ」のプロセスです。日本でのトレンドや好みが必ずしも世界で通用するとは限りません。ターゲットとして設定した地域のユーザーに対して、どのようなコンセプト・デザイン・エクスペリエンスを提供できるかをリサーチデータを元に思考を重ね、より具体的にサイトコンセプトを設計していくことが重要なステップとなります。
企業サイトとしての役割を担うグローバルサイトの制作
グローバルサイトは企業と世界をつなぐコミュニケーションツールであり、そのサイトのデザインやコンセプトが世界からの「ブランドイメージ」に大きく寄与します。また、Webサイトは、ステークホルダーへの情報提供などコーポレートコミュニケーションという重要な役割も担っているため、どのようなコンセプトでグローバルサイトを制作するのかは、未来のステークホルダーへのアプローチにも結びつくため、マーケティングだけでなく企業の経営戦略にも関わってきます。
ターゲット設定〜サイトコンセプト設計、そしてステークホルダーへのコーポレートコミュニケーションツールとして、コンテンツや素材を企業ブランド規定に沿った内容で進行しましょう。
グローバルサイト制作を成功に導く3つのポイントとは?
1. “ローカライズ化”を重視したグローバルサイトデザイン
すでに日本語版サイトを運用している場合「そのままコンテンツを翻訳すれば良いだろう」となりがちですが、戦略プランニングパートでもお話したように、グローバルサイト制作は「ターゲット」にデザインやコンテンツを適応 = ローカライズさせることが重要となります。例えば、トップページで次のアクションへ誘導するようなカスタマーエクスペリエンスを元にしたグローバルサイトデザインは、ターゲットユーザーの検索意図を踏まえた文脈を設定し、その目的に到達するためのCTA (Call-To-Action)を精密に設置することで、戦略を具体的に実現することができます。また、グローバルサイトのコンテンツ制作もターゲットユーザーが「他ではなくこの商品もしくはサービスが良い!」と選んでもらえるように行動喚起させるコンテンツをネイティブライターなどのリソースを使って作成することが、トラフィックやコンバージョンを高める鍵となってきます。ブランドを訴求しつつ、ターゲットユーザーが求める情報コンテンツやデザインを採用し、グローバルサイト制作で成果を得たアパホテルのケースからも”ローカライズ化”することの重要性が伺えます。
2. 長期的なグローバルサイト運用を見据えたシステム構築
グローバルサイトを運用していくにあたりCMS(Content Management System)を統合することをおすすめします。CMSは使いやすく、グローバルサイト内のデザインも統一することができるため、言語ページによっての不均等なデザインを防ぐことができます。また、運用するにあたり自社内でのコンテンツや情報更新も可能となるため、継続的な運用コスト削減にも繋がります。その他海外向けのECサイト構築など、長期的にグローバルサイトを運用していく上でビジネスに直結するシステム構築は、グローバルサイト制作への投資を行う分、計画的に決めておくと、将来的な会社の利益にも繋がってきます。
3. 戦略を最適化するグローバルサイト運用・更新
グローバルサイト制作が完了して終わり、ではありません。常にターゲットユーザーの嗜好やトレンドは変化していくため、ユーザー動向を可視化できるデータの解析により、トラフィックの多い・少ないページを把握し、コンテンツやCTA、コンバージョンの最適化を継続していくことがグローバルサイトによる持続的な成功へと繋がります。データ分析によりサイトの課題を見つけ、改善していくというPDCAを回していくことで、ユーザーにとっても常にアップデートされたエクスペリエンスの提供が可能となるのです。
グローバルサイトを最大限に活かすが海外SEO対策
戦略プランニング通りに設計し、グローバルサイトを制作しても「本当にターゲットユーザーはサイトへ訪問してくれるのかな?」という疑問がある方も多いと思いますが、もちろんターゲットユーザーにサイト訪問してもらうためには、サイト集客施策が必要となってきます。その一つとして挙げられるのが、海外SEO対策です。ターゲット地域のユーザーが検索するキーワードを戦略的なコンテンツ作りやテクニカル設定でGoogleプラットフォームで検索表示を上位ランクさせ、Webサイトへ集客するという施策です。精密なグローバルターゲット層の集客を行いたい企業には最適な施策であり、グローバル化を狙う日本企業による海外SEOへの取り組みは年々増えてきています。
グローバルサイト制作は「ターゲットを知り、理解すること」というマーケティングの基礎的な手法に尽きるのです。国が違えば、好きな色やデザイン、エクスペリエンスが異なる人がいること、そしてヒトへ商品やサービスを伝える時、そのヒトの目線に立って伝える、というとてもシンプルな考えがこれからのグローバル化を生き抜く要になってくるのではないでしょうか。