海外に事業を発展していきたいと考えている企業であれば、越境ECという言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。越境ECで商品の認知を拡大し、売り上げを伸ばしていくためには、検索エンジンからユーザーを自社ウェブサイトに読み込むSEOや、SNS運用など複数のチャネルを組み合わせることが重要です。その中でも自社商品やサービスに適した広告を運用し、ターゲットからの認知を広げることは越境ECで成功する鍵となります。
そこで、本記事では、
- 越境ECに適した広告の種類と運用方法
- 越境ECにおける広告の戦略立案の方法
- 越境EC広告運用の注意点
などをご紹介していきます。
これから越境EC広告を事業拡大の戦略として活用したい方はぜひ最後までご覧ください。初めて越境ECサイトを活用したマーケティングを行う方は、海外ECについての基礎知識も合わせてご覧ください。
目次
越境ECに最適な広告の種類と運用方法は?
越境ECで自社商品を認知させるためには、広告の配信ターゲットを検討することが重要です。ターゲットに適した広告を選択することで、広告の効果を最大化できます。ここでは、越境ECの運営に適した広告の種類や特徴、運用方法について紹介します。
リスティング広告
リスティング広告は、ユーザーが特定のキーワードを検索エンジンに入力した際に表示される検索結果に掲載される広告です。主にGoogleやYahoo、バイドゥ(百度)、NAVERなどの検索エンジンで見られ、検索ユーザーに対して、その検索ニーズに適した広告を提示することができます。海外に向けたリスティング広告では、Googleを例とすると、表示するコンテンツとターゲットするキーワードさえ決まればすぐに出稿できます。
リスティング広告を運用する際は、ターゲット国での自社のポジショニングや競合の把握、売り上げ目標やKPIの設定などが重要となります。現地のユーザーの検索習慣や趣味嗜好を調査し、訴求ポイントやプロモーション施作をターゲットに合わせながら運用を行うことも重要です。海外向けにリスティング広告を運用するポイントや詳細な配信手順は、別記事をご覧ください。
SNS広告
SNS広告は、TwitterやInstagram、Youtubeなど、SNS内で配信される広告です。TwitterやInstagramなどでは、様々な配置で広告を配信することができますが、ユーザーが日常的に閲覧しているタイムラインに表示させるフィード広告を活用することで、現地ユーザーに自然なアプローチが可能となります。
また、YoutubeやTikTokなどのSNSを活用して、SNS内で動画広告を配信することで、より詳細な情報をユーザーに伝えることも可能です。国や年齢層によって主流となっているSNSのプラットフォームは異なるため、ターゲットに合わせたSNSプラットフォームを選択する必要があります。
インフルエンサー広告
芸能人やアーティストを起用したブランディングや広告宣伝は昔から行われていましたが、最近ではSNSのフォロワーが多いブロガーやインフルエンサーに、自社製品やサービスをアピールしてもらう手法が活用され始めています。特に、若い世代ではテレビよりもSNSにおける情報収集が一般的になってきています。
ターゲットにしたいユーザーの年代層や興味関心に合ったインフルエンサーを起用することで、高い宣伝効果を得ることができるでしょう。
商品リスト広告(PLA)
商品リスト広告(PLA)は、基本的にGoogleが提供するGoogleショッピング広告のことを指し、商品の画像や名称、価格をGoogleの検索結果に表示できる広告フォーマットです。通常のテキスト広告よりも情報量が多いことからコンバージョンに繋がりやすいことが特徴です。
基本的に設定できる項目を網羅して設定することで、より多くの情報を検索ユーザーに届けることができ、効果を最大化できることでしょう。
越境ECにおける広告の戦略立案の方法
ここまで、越境ECに活用できる広告をご紹介しましたが、いざ運用するとなった場合には、どのように戦略を立てていけば良いのでしょうか。ここでは、戦略立案の方法をご紹介していきます。
目標の設定
ECビジネスを海外に展開する場合には、販売商品や国、年齢層や性別などのターゲット設定に加えて、達成したい項目とその期間を設定することが必要となり、これらの目標をもとに予算や宣伝方法を決定します。ユーザーの購買意欲を高めるためには、割引セールや期間限定のイベントなどを開催して商品を値引きすることも時には必要となります。価格設定や客単価などの変化も考慮し、活用する広告やその他プロモーションにおいて、目標とする売り上げや認知拡大の達成に向けた計画を立てるようにしましょう。
予算の設定
越境ECのプロモーションに使用できる予算を設定します。ブランドや商品が広く認知されず、ユーザーからの口コミが得られない場合、他のユーザーからの売り上げの獲得は難しくなることでしょう。そのため、予算に合わせたSNS広告やリスティング広告、インフルエンサー広告などの活用やオフラインのプロモーションイベントの実施などを通して、売り上げの獲得だけでなく、ユーザーの認知拡大や口コミの獲得などを積極的に行う必要があります。
手段の選定
プロモーションの予算が決まったら、ターゲットに合わせて、広告を運用するプラットフォームやその他プロモーション施作を検討しましょう。越境ECで自社製品の良さを顧客に伝えるためには、オンラインとオフラインを上手く組み合わせることで効果を最大化する必要があります。
これらのステップを通して商品を販売することで、最初に設定した数値目標の達成の可否を判断しながら、未達成の場合に問題となっている部分を特定しやすくなります。反対に目標を達成している場合は、広告の運用費などを調整してコストを削減し、利益の最大化につなげやすくなります。
越境ECにおける広告の戦略立案のコツ
それでは、越境ECにおける広告の戦略立案のコツを見ていきましょう。
3C分析で情報を整理する
広告の戦略を立てる際には、3C分析を活用して自社の商品がどのような価値をどのような人に提供できるのかを分析しましょう。3C分析は「顧客(Customer)」、「自社(Company)」、「競合(Competitor)」から成り立つフレームワークです。
顧客が何を求めているのかを理解し、競合と比較したときに自社がアピールできる内容について整理していくことが重要です。
AIDMA/AISASモデルなどを活用する
AIDMAやAISASは潜在顧客や見込み客が商品を購入するプロセスを心理学的に分析してモデル化したものです。AIDMAでは「Attention」、「Interest」、「Desire」、「Momory」そして「Action」の頭文字が取られており、消費者はまずその商品の存在を知り(Attention)、興味を持ち(Interest)、欲しくなり(Desire)、記憶します(Memory)。その後、商品の購入を行います(Action)。
AISASも似たような、消費者が商品を購入するプロセスを分析したもので、「Attention(認知)」、「Interest(興味)」、「Search(検索)」、「Action(行動)」、「Share(共有)」の頭文字を取ったものです。こういったモデルを活用し、マーケティングやプロモーションの戦略を考えてみましょう。
市場調査でニーズを確認する
広告の戦略を立てるためには、市場調査で現地のニーズを確認しておくことは非常に重要です。市場調査の手段としては、
- アンケート調査
- インタビュー調査
- 調査を専門としている会社への依頼
などがあります。
アンケート調査では、インターネットや紙、メールなどを通して調査対象にアンケートへの回答を依頼するものです。手軽に回答できるように選択肢が用意されていたり、スマートフォンタブレットが活用されたりします。最も手軽ですが、サンプル数によってはアンケート結果に偏りが生じる場合があり、事前に許容誤差を確認しておくことが求められます。
アンケート調査は手軽に実施できる一方で、踏み込んだ内容の調査には向いていません。そこで、口頭で行うインタビュー調査を活用することで、複雑な質問の投げかけや返答内容をもとにした追加質問まで可能となります。時間がかかってしまうため、数多くのサンプルを集める場合には向いておらず、サンプル数が必要な場合はアンケート調査を活用すると良いでしょう。
アンケート調査やインタビュー調査は自社で行うことも可能ですが、特に越境ECにおいてはターゲットとする国のユーザーを探す必要があり、ターゲットとしている国の言語や文化を理解することも重要であるため、ハードルが高くなります。そんな時に活用できるのが、調査を専門としている会社への依頼です。現地の調査員を抱えている調査会社もあるため、自社で調査するのが難しい場合は、調査会社に依頼すると良いでしょう。
翻訳の質を上げる
海外に向けた広告運用の際は、ターゲット国の言語を使って訴求する必要があります。日本語から他言語への翻訳ツールもありますが、不自然な商品説明になってしまう場合もあり、顧客との信頼構築にも影響するためにも、ネイティブからチェックを受けた正確な翻訳が成功の鍵となります。顧客が商品に興味を持ったとしても、商品情報に違和感があると信頼感が損なわれてしまいます。
プレビューツールで実際の検索結果を確認する
海外向けに広告を配信する場合は、検索ニーズに加えて、実際の検索結果を確認し、検索ワードに対して上位表示されている広告や記事などのコンテンツを確認しておきましょう。こうすることで、現地で行われている商品の訴求についての確認や、どういう商品がどれくらいの価格帯で売られているのかを確認することもできます。
ハンブルバニーでは、越境ECに関するノウハウを蓄積しているため、越境EC広告だけでなく、貴社の抱えている悩みや達成したい目標をもとに、最適な戦略作成やプラットフォーム選定を行うことができます。現在越境ECをお考えの場合は、ぜひ一度ご相談ください。
越境EC広告運用の注意点
越境EC広告を運用する際に注意が必要な点は下記の通りです。
- 想定しているCPCと異なっていないか
- 設定している予算を消費できているか
- リスティング広告で余計なキーワードを対象にしていないか
業界やターゲットとするキーワードによって相場のCPCがある程度決まっていることもありますが、実際に運用すると想定していたCPCと異なる場合があります。CPCが想定よりも高すぎる際は運用戦略を考え直す必要が出てくることもあります。広告を配信するときに予算設定が求められるプラットフォームでは、設定予算を消費できず、余ってしまう場合があります。そういった場合は、ターゲットを絞り込みすぎていないか、クリエイティブに問題がないかなどを見直す必要があります。
また、リスティング広告を運用する際には、キーワードに対して「完全一致」や「部分一致」などを選択できますが、設定したキーワードに対して部分的に一致した際に広告を表示するようにしておくと、自分が意図していたものから外れたキーワードに対して広告が表示されてしまう可能性があるため、特に注意が必要です。
越境ECの広告運用はハンブルバニーへ
越境ECの広告を運用する際は、配信前にターゲットとする国の情報をもとにして戦略を立てることが大切ですが、戦略立案の際には、現地の顧客の興味や競合などの情報を集める必要があります。また、それらの情報をもとにして、目標となる売り上げや認知向上に対して、全体の予算から広告に費やすことができる費用の計算やターゲットに合わせたチャネルの選定なども必要となります。配信する広告のコピーやクリエイティブもターゲット国の顧客にとって自然なものでなければならず、ノウハウがない状態で成功させることは非常に難しいでしょう。
ハンブルバニーは、越境ECのプロジェクトに関するノウハウを保有しているため、貴社の戦略立案から実際の広告配信、分析まで幅広くサポートできます。広告配信を含む越境ECに関して困っていることがありましたら、ぜひ一度弊社にご相談ください。